秋田の平屋 2017 / 戸建住宅 / リノベーション
設計・監理:佐竹勝郎建築設計事務所
所在地:秋田県秋田市
竣工:2017年11月
用途:戸建住宅
構造:木造 地上1階
平屋建の改修と再生。敷地は秋田市の中心部でありながら、とても閑静な場所です。既存建物は築40年以上、入母屋造りの屋根をもつ低層で美しい日本家屋です。かつて陶芸をするための場所でもあったようで、格天井と呼ばれる寺社などでしか見られない天井や、趣のある床の間などから、どことなく数奇屋を感じさせてくれます。また、大きな庭園も特徴のひとつで、約160坪の敷地に対して建物が約36坪。敷地の半分以上は庭園が占めることになります。そのような和の性格をもつ既存の条件に対して、過去からの文脈を壊さず、新たに何ができるのか?。自問自答しながら設計を進めていきました。まずは建物の履歴をたどり、先人がどのように建物を使ってきたのか、先人の大工の仕事の跡から何を読み取るのか、調査を徹底しました。そのうえで残すべき部分を見極め、新たに造りあげる現代の要素とどのような融合が可能なのかを模索していきました。過去から現在、そして未来へと末永く継承できる住まいを目指して。
● 多目的スペース :ゲストルームなど多目的に使えるスペースです。床は秋田杉、天井はシナ合板の目透し。長い時間を経て成熟した柱、梁は一部露出しました。
● 庭園 :荒れ果ててしまったお庭でしたが、お施主様による手入れで蘇りました。松、竹、紅葉、柿、柊など多彩な植栽と、石の庭園です。
● リビング :南側に面したリビングからは庭園を望むことができます。格天井は既存をそのまま再利用しました。
● リビング :壁のほとんどを針葉樹合板で耐震改修してあります。
● 収納 :収納としての存在感が無くなるよう収納の扉は、壁と同じ針葉樹合板を使用し、周囲に溶けこませています。中心はトンネルのようになっていて、洗面所へと続きます。
● レコーダーBOX :黒皮鉄を使いスッキリとデザインしました。観音開きになっています。壁掛けTVへの配線は露出しないよう壁内で配管してあります。
● キッチン :アイランド型のキッチンで、周囲の腰壁にはモルタルによる左官を施しています。
● 木製建具 :既存の4枚建ガラス戸は加工調整し再利用しました。インナーサッシの役割で、冬も暖かです。
● 子ども部屋 :間仕切り上部はガラスのランマにし、天井面を連続させました。個室ながらリビングと繋がる感覚がもてます。建具はチェッカーガラスによる木製框扉です。
● 洗面 :壁、天井はチャフウォールと呼ばれるホタテ貝殻からとれた天然素材の塗料を左官しています。
● 浴室 :大きな窓があるユニットバス。竹で目隠しを組んだ小さな坪庭を眺めることができます。
● 浴室の目隠し :竹は既存和室の天井に使われていたものを採取し、組み込み製作しました。
● 解体後 :ほとんど全ての壁、天井、床、サッシなどを解体しスケルトン化しました。耐震診断、耐震改修、断熱改修を施し、新築同等のレベルまで居住性能を高めました。
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