Top   About   Works   Flow&Price   FAQ   Blog   YouTube  





根津の家 2012 / 戸建住宅 / 新築工事

設計・監理:佐竹勝郎建築設計事務所
所在地:東京都台東区
竣工:2012年6月
用途:戸建住宅
構造:木造 地下1階、地上2階(ロフト付)
敷地面積:37.24u(11.3坪)
延床面積:65.81u

根津や谷中は都心のなかでも数少ない古い木造家屋が立ち並ぶ地域です。街路には生活が根付いていて情緒あふれる東京の風景が今も色濃く残ります。敷地はそんな街並 に溶け込むようにしてあります。もともと三軒長屋が建っていた場所で、間口が狭く奥行きがある細長い形をした敷地です。それほど広さに余裕はありませんが、南側に隣家の大きな庭が広がる気持ちのよい場所です。建物は周辺環境へ溶け込むようにと高さを抑え、地下1階、地上2階の木造3階建の構造にしました。プランは敷地同様に細長く、南側を少し台形のような形にしてあります。台形にすることで、わずかですが敷地内に坪庭くらいの小さな庭を確保でき、その先の隣家の大きな庭へと繋がっていくようなイメージがもてます。手に触れることのできる家族の庭と、その先の借景として眺める庭。敷地の境界線を越えた広がりを感じる家になればと願いをこめました。


● 2階リビング
壁は柱が見える真壁です。柱は檜を使用しています。壁の仕上げは湿度の調整に富んだ珪藻土を塗っています。床は無垢材(栗)のフローリング。天井にはラワン合板を張っています。




● 2階リビングからロフト
リビングは吹き抜けとなっており、そのままロフトへと繋がります。屋根にはトップライトを設け採光を十分に取り入れました。梁は米松を使用。片流れの屋根は集成材による登り梁でしっかりささえています。




● 2階キッチン
南側の一番気持ちのよい場所にキッチンを配置しました。南側隣地の緑が借景となって、狭小地ながら建物内部まで広がりを感じます。南側の建物の形を台形状にすることで、窓を大きくとることができます。秋には美しい紅葉が望めます。




● キッチンカウンター
木工作家さんに依頼した造作キッチンです。天板にはウォルナットを使用しています。深い色合いで高級感があり、耐水性もある材質です。使い込むほど味がでます。




● バルコニー
手すりは檜、デッキ材は耐水性の高いウエスタンレッドシダーを使用しています。支柱、骨組(片持ち梁)は鉄で造りました。耐久性を高めるために溶融亜鉛メッキ塗装で仕上げてあります。





● ルーフバルコニー
ロフトから直接ルーフバルコニーに出られます。防水は安心のFRP防水です。周囲に高い建物がないので、都心とは思えない開放感のある眺望が楽しめます。




● 照明
照明器具の存在は出来るだけ感じないように、モーガルソケットという陶器製のソケットに裸電球というシンプルな照明器具を採用しました。柔らかく優しい灯りは、落ち着いた雰囲気をつくることができます。




● 階段(全体像) 
約一坪サイズの回り階段です。階段は建物の中心に配置されています。両サイドは耐力壁として設計してあります。階段であると同時に建物の耐震性を確保する構造上重要な部分です。




● 階段(材質)
段板、蹴込板はタモ集成材を採用しました。とても硬い木材です。階段は毎日何度も上り下りする場所なので、耐久性のある丈夫な材料で造るのが大事です。




● 階段(支柱)
回り階段は、中心にシナランバーコアの隔て板と支柱(スプルース)で構成されています。狭小住宅なので、できるだけコンパクトに納めてあります。




● 階段(手すり)
木工作家さんに依頼しました。骨組はアイアンのゆるやかな曲線、手すりは毎日手が触れる部分なので木製にしてあります。幅も広くとることで、ひじを付いたり、寄りかかりやすくしてあります。




● 階段(明かりとり)
安全に上り下りできるよう、小さな窓を設け採光を確保してあります。東側なので、朝日が差し込みます。




● 階段(出入口)
階段は半地下であるエントランスホールから2階リビングまでつづきます。エントランスホールはガレージのように外からの延長で使用しますので、階段に上がる際には扉があったほうが良いと思い、引き戸を設けました。




● エントランスドア
半地下のエントランスドアです。半地下の床は土間、壁は床から1m程度は基礎、その上部からは珪藻土による壁と天井です。コンクリートの質感と、白い珪藻土に合うようにドアはデザインされています。材質は栗で、表情がとても明るいです。建具はすべて木工作家さんに依頼しました。




● 郵便ポスト
壁に埋め込みました。外から投函されたものを、中から取り出すことができます。




● 1階のコンセプト
1階フロアは、寝室、洗面、トイレ、浴室です。就寝のための場所なので少し明かりを抑えた落ち着いた雰囲気にしました。ホテルのワンルームのようなイメージです。




● 寝室の窓
間口が狭い住宅は、短手方向の耐力壁を確保すると窓が小さくなってしまいます。最大限に採光と通風を確保するために、窓は引き込みで納めました。窓を開けると目の前が道路です。小さなバルコニーも設けました。




● 寝室から南側を望む
寝室の先には、洗面とトイレ、脱衣室、そして浴室があります。




● 浴室
ユニットバスではない、オリジナルのバスルームです。小さな窓からは、坪庭を望むことができます。壁はタイル、天井は檜、床は檜のスノコです。




● 脱衣室
浴室と脱衣室が明るく繋がるように、壁の上部には強化ガラスを入れてあります。引き戸も乳白色のポリカーボネートを入れたオリジナルです。




● 浴室の天井
浴室と脱衣室の天井は檜の縁甲板張りで統一してあります。同じ材料を使うことで2つの部屋が繋がり一体感がでます。檜は耐水性に優れ、香り高い材料です。




● ファサード
間口が狭く、奥行きがある細長いプロポーションの建物です。壁は無地のサイディングの上、スタッコ吹き付けで仕上げています。もと三軒長屋の真ん中の建物を解体し新築しました。ゆえに切り離された隣家との調和も考え、奇抜さのない落ち着いた外観をデザインしました。




● 断面計画
周囲に溶け込むように、出来る限り高さを抑えたいと考え、半地下のうえ地上2階(ロフト付)の構造を練り上げました。また、借景となる南側隣地の木の高さにも十分配慮しました。




● 外観パース





● 概念図
計画を立案した際、最初に描いた概念図です。狭小敷地の住宅設計は、横に広がるプランができない分、縦へ縦へと繋がる楽しいイメージを持つことが大切です。この図をコンセプトに、設計を進めていきました。




copy right (C) Katsuro Satake Architects  all rights reserved  since 2008